第11章
翌朝、私たちは和也の個人オフィスに集まり、計画の最終確認を行った。そこは防音性が高く、五条家の密偵に監視される可能性も低かった。
私たちが議論に没頭していると、不意にドアがノックされた。和也と私は警戒するように顔を見合わせた。こんな時間に訪ねてくる者は滅多にいない。
「入ってもよろしいかしら?」紀子の声は穏やかだった。彼女の視線は和也を通り越し、まっすぐに私に向けられた。「少しお話があるの。明日の午後の会議について」
和也は警戒を解かず、彼女を中に入れようとはしなかった。「何の用だ?」
「水原梨乃さんと……共通の利益についてお話ししに来たのよ」紀子はまるで自分のオフィスである...
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チャプター
1. 第1章
2. 第2章
3. 第3章
4. 第4章

5. 第5章

6. 第6章

7. 第7章

8. 第8章

9. 第9章

10. 第10章

11. 第11章

12. 第12章


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